昨日12月26日に南フランスに住む友人とオンラインでクリスマスのご挨拶も兼ねてオンラインで話をしました。
12月26日は多くの西ヨーロッパ諸国で祝日となっています。 例えば、オーストリア、ベルギー、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、オランダ、ポルトガル、スペインなどが挙げられますが、フランスは祝日ではありません。
南仏の田舎道に現れたフェラーリ
以前、夏に友人の家に遊びに行った時の事なのですが、友人の住む場所は、ひまわり畑や菜の花畑が広がる静かな田舎です。
そんな田舎道で、ある日真っ赤なフェラーリが走るのを見かけました。 驚いて友人に尋ねると、そのフェラーリは近所に住む女性の彼氏のものとのこと。
彼氏は60代後半のパリ在住の既婚者の実業家で、成人した息子が二人いるということでした。
女性は絵画を描くアーティストだそうで、(一人娘は既に成人して別の街に)カントリースタイルの内装が施された広い庭付きの家に住んでいました。 20年前にそこに引っ越した友人によると、彼らの関係は既に始まっていたとのこと。 実際、私もその女性の家でランチを共にしたことがありますが、料理もプロ並みに上手な、50代後半とは思えないとても素敵できれいなフランスのマダムでした。
不倫という概念はない?
日本的な感覚では、彼女は不倫相手と見なされるかもしれません。ですがフランスでは「不倫」という概念がほとんどありません。
フランスをはじめとする多くのヨーロッパ諸国では、不倫は法律的な問題ではなく、個人のプライバシーとされています。そのため、日本のように慰謝料を請求したり、社会的に非難されることはほとんどありません。むしろ、新しい恋を応援する文化すらあるのです。
もちろん道徳的に問題視されることはありますが、その行為が直接的に批判されることは少ないと思います。
逆に、新しい恋を友人たちに応援されると思います。
ヨーロッパでは“不倫”の概念が異なる
ヨーロッパでは離婚率が高いですが、基本的に離婚は裁判離婚です。 お互いに弁護士を雇う必要がありますし、お金も時間もかかります。
実際にドイツで離婚をするのに10年以上裁判を続けた人を知っています。 彼曰く、費用もストレスも相当だったとのことです。そして財産のかなりの部分を元妻に取られたそうです。
例えばドイツでは慰謝料はなくても、婚前契約書がない場合、夫婦間であまりにも収入の差があると、収入が多い方から少ない方へ多額の支払が発生することがあります。 特に相手が専業主婦だったりすると、そのお相手が自立できるまで多少のお金を支払命じられることがあります。
特に男性が実業家、資産家の場合、婚前前契約書が無い場合は男性側が相当金銭的に不利になる場合が多いので(女性の方が多く財産を取得する)、いわゆる不倫をしていても関係をそのまま放置している人が多い印象があります。(かなり富裕層の人の場合) 奥様の方も離婚して、彼の奥様という地位と名誉を捨てるのが嫌だという場合もあるでしょう。
お互いに愛情がなくなり、経済的な理由で結びついているだけの夫婦関係。もしかすると、奥様にも若い恋人がいるのかもしれません。 そのため、経済的理由や地位の維持のために、形式上の結婚を続けながらも別の恋愛関係を築く夫婦も珍しくありません。
大人の事情が絡む複雑な関係
ふと気になって友人に彼女の事を聞いてみると、彼女はクリスマス前から彼のいるパリに遊びに行っているそうです。
宿泊先は、パリの五つ星ホテルだそうです。
クリスマスは家族と過ごすのが一般的なヨーロッパ。 家族ではない彼女が彼に会えるのは26日なのかな? と考えてしまいました。 もし、自分がその立場だったらどう思うだろう? と漠然と考えを巡らせてしまいました。
ですがフランスは愛の国、愛があれば、愛される存在だったら、妻と言う立場にはこだわらないのかな? とも感じました。
実際フランスの歴史には、愛人にまつわる興味深い逸話がたくさんありますよね。
例えば、ルイ15世の愛人として有名なポンパドゥール夫人の話があります。彼女はただの愛人ではなく、政治や文化にも大きな影響を与えた人物です。
もちろん結婚が全てではありませんが、お互いの大人の事情で二人は法的に結ばれることがないのだな、と思うと少し複雑な気持ちになりました。
結婚という形式に囚われない欧米人
もし、あなたが彼女の立場だったらどう感じますか??
お金さえあれば、自分を顧みない夫でも我慢しますか?
それともたとえ妻と言う立場になれなくても、彼からの愛があればそれでいいと思えますか??
もちろん、結婚が全てではありません。 ですが彼らのように法律的に結ばれることはないながらも長年関係を続ける姿を見て、フランス人の恋愛観は日本人にとって理解しがたいものだと改めて感じました。
日本では不倫が大きな社会問題として取り上げられる一方、フランスでは個人の選択として受け入れられるこの違い。
やっぱりフランス人の恋愛感覚/価値観の差は日本人の私には理解し難い。 と改めて感じました。